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 Bausch & Lomb 5cm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:ボシュロム
設計者:不明
製造番号:不明
製造年:不明
レンズ構成:3群7枚 ゾナー型(推定)
重量:
最小絞り値:なし
絞り枚数:なし
最短距離:なし(バレル)
マウント:なし(加工してライカ非連動マウントに)
使用目的:不明だが、ヘリコイドがないことから、レントゲン、記録用など特殊用途と考えられる。


ゾナー型のいずれかの可能性が考えられる。



職人肌のBauschと実務的なLomb。
二人のドイツ移民が支え合って設立した眼鏡会社がBausch & Lombです。
戦争で傷つきながらもBauschの研究を支え続けたLombが戦地から戻ったとき、そこにはきちんと彼の居場所が用意されていました。そのストーリーは拙著「35mm判オールドレンズの最高峰第1巻」に簡単に書きました。以下、少しその本からの抜粋です。

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今回取り上げるレンズには名前もなく、ヘリコイドも付属していない。絞りは内蔵されていたようであるが、羽根が失われているので現在は使用できない状態である。
このレンズの使用目的は不明であるが、一般的なカメラ用レンズではなさそうである。通常プロジェクター用レンズには絞りが内蔵していないことが多く、また鏡胴の形状も足が長く、大きく溝が切ってあることが多いので、映写用のレンズではないであろう。また、文字刻印の方向から引き伸ばし用でもないと考えられる。やはり、f1.5という明るさと、ボシュロム社が顕微鏡や眼鏡、コンタクトレンズという医療関係の事業内容が高い比率であることや、ドイツのとの戦争に際して、光学製品の輸入がストップする対処策としてボシュロム社が自国生産の実現に多大な貢献をして一時は軍関係の65%のシェアを保持していたという事実を考えると、まず考えられるのが、それらの分野のデータの記録用として用いられたという可能性である。左表の5番目、6番目のグループである。
しかし、このレンズの前方の絞り調節機構部分の形状を見ると、X線間接撮影用というイメージはあまり感じられない。むしろシネ用に特別に製作されたか、もしくはTV-タハーのようにTVカメラなどで使用されたのではと考えたくなるような瀟洒な形状である。
レンズ構成も資料は全く発見できないが、ガラス反射面の数と、できるだけ分解して見たガラス形状から推測すると、3群7枚のゾナー型である可能性が高いようだ。カール・ツァイス社のゾナーf1.5と比較すると、第1群の凸メニスカスレンズの曲面が、前側だけでなく後側もかなり深くなっていて、第2群を包み込むようなイメージである。このレンズの開放での試写によると、中心部に近いところからコマ収差が目立っているが、このレンズ形状の影響もあるかもしれない。

開放f1.5での描写はまさに「滲みレンズ」。画面中央部でもピント面に光線が集約されきっていないため、特にハイライトでは大きなハロが表れます。じゃあピントがないかというとそうではなく、ハロの中心に結構しっかりとしたピント画像が確認でき、それらが相まってとても面白い描写を与えてくれます。

B&Lのレンズは日本ではあまり見かけませんが、小型カメラ用で最も有名かつ明るいレンズはバルターBaltar、スーパーバルターSuper Baltarでしょう。50mm f2のスーパーバルターなどはレンズヘッドだけでもかなり高額に取引されています。
また同社にはE.F.Anastigmat 75mmf2という外見がヘクトール73mmf1.9とそっくりなレンズがあります。しかもなんと純正のライカスクリューマウントで、ほとんどライカ用のレンズを製造していない同社がなぜこのレンズを作ったのか、非常に興味を惹かれるところですが、いまのところそれを解明する手がかりは得られておりません。

https://www.oldlens.com/bauschlomb3inch.html

 Photos with Bausch & Lomb 5cm f1.5
 
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2018
Yanesen
(谷根千)

初夏、JLC(ジャパンライカクラブ)の仲間と谷根千を散策しました。
ちょうど紫陽花が満開になりかけた時期で、ときおり強い日差しが雲の合間から差し込むかなり暑い日でした。

このような明るい日に絞りが破損していてf1.5開放しか使えないレンズでは撮影が厳しいかと思いましたが、さすが現代のデジタルカメラは1/8000秒まで使用できるので、全く問題なく撮影できました。

描写は上記解説通りですが、カメラの背面液晶で確認した段階ではまるでピントが来ていないように思えた写真も、パソコンで拡大、調整すると、しっかりと芯のあるとても好きな描写だということがわかりました。